上山あゆみ「はじめての人の言語学」 pp2ー15 (P2) 1.1. 日本語の音はいくつある? 1.1.1.母音と予音 アルファベットは26個で、ひらがなは50個ぐらいだっけ。英語の方が難しい発音があんなにいっぱいあるのに、変なの。 ロ―マ字とひらがなとでは音に対する着目の仕方が違つています。  私たちは例えば「窓」ということばが2つの音でできていると思っている。「ま」も「ど」も独立した「1つの音」である。ひらがなで書くと2文字になることからわかるように、ひらがなは普通私たちが1つだと思っている音を1文字で表している。このことは当然すぎてわざわざ考えないようなことであるが、ローマ字で書いてみると、これがそれほど当然ではないことがわかる。ローマ字ならばmadoと4文字になるからである。まず、ひらがなとローマ字が同じ発音をどのように表すかを見て、この2つの文字の特徴を調べてみよう。  「あいうえお」については、ひらがなでもローマ字でも1文字で表す。 (1)あ い う え お    a i u e o しかし「かきくけこ」になると、ひらがなが1文字でローマ字が2文字になる。 (2)か  き  く  け  こ    ka ki ku ke ko なぜローマ字は「か」を2文字で表すのだろうか。  誰でも知っているように、「かー」とのばして発音するといつのまにか「あ」になっている。しかし、はじめは「あ」と異なるのであるから、「か」は「何かの音」+「あ」でできていることになる。この「何かの音」をローマ字ではkの文字で表している。「さ」では、また別の「何かの音」が「あ」の前についている。ローマ字で書けばsである。ローマ字はひらがなよりももっと細かく音を区切って表しているのである。 (P3)  見返しの表を見ればわかるように、「ん」以外のひらがなはローマ字にするとa、i、u、e、o のどれかが必ずふくまれる。いいかえればa、i、u、e、o が軸となって、それにkやsなどがついている形になっている。そこで、これらをまとめて指すために、a、i、u、e、oのような音は母音(ぼいん)、それについているその他の音は子音(しいん)と呼ばれている。  アルファべットは26個あるが、日本語のローマ字で使われるアルファべットは26個もない。見返しの表にでてくるアルファべットの数を数えてみればわかるように、全部で19個である。反対にいえば、日本語の発音はこの19個の文字だけでも表すことができることになる。この19個のうち5個が母音を表すもの、そして残りの14個が子音を表すものである。列挙しておくと(3)、(4)のようになる。 (3)a、i、u、e、o (4)k, s, t, n, h, m, y, r, w, g, z, d, b, p  母音・子音ということばを使うと、ローマ字とひらがなの違いが述べやすくなる。ローマ字は母音と子音とを別々に表す文字であるが、ひらがなはそれらを組み合わせた音を表す文字なのである。 1.1.2。母音と子音のならび方 ちゃんと dog と発音しているつもりなのに、最後に「ウ」がはいっていると言われます。「ドッグ」ならいいですか? 日本語には子音で終わる単語はありません。  英語と日本語とでは、母音と子音の並び方がかなり違う。これも、ひらがなのかわりにローマ字で書いてみるとよくわかる。母音を表すローマ字に下線をひいておこう。 (P4) (5) ことば     kotoba     ひらがな    hiragana このように、日本語ではたいてい子音と母音が交互にあらわれ、最後は母音で終わっている。「ん」以外のひらがなはすべて子音+母音という音の組み合わせを表しているのだから、当然ともいえる。そのため(6)のように母音が続いてもかまわないが、(7)のように子音が続いたり子音で終わったりすると、そのままでは日本語の発音にならない。 (6)あおいいえ  aoi ie (7)spring  ≠  スプリング  supuringu    apple  ≠  アップル   appuru    dog   ≠  ドッグ    doggu  このような日本語の音の特徴のため、日本語で育った人は母音をはさまずに子音を続けて発音したり最後に子音だけを発音したりすることが不得手である。'dog food', 'grape juice' などの外来語を日本語の中に取り込む場合でも、カタカナにはすべて母音が自動的にふくまれてしまっているため、「ドッグフード(dogguhudo)とか「グレープジュース(gurepuzyusu) のように、英語の発音にはふくまれていない母音がたくさんはいることになってしまう。しかし、これは日本語の音の特徴としてさけられないことであるから、単に不正確だといいきるわけにもいかないだろう。  ただ、日本語にも、子音が続いたり子音で終わったりする場合がある。次のように「ん(n)」がかかわる場合である。 (8) にほんご  nihongo     でんわ   denwa (P5)     えんぴつ  enpitu (9) みかん   mikan     リボン   ribon このように、nだけは子音の前にあらわれても単語の最後にあらわれてもかまわない。  ほかにも、ローマ字で書くと子音を表す文字が連続することがあるが、それらが表している音に注目すると別々の子音が連続しているわけではないことがわかる。1つは、ひらがなで「っ」を使う場合である。 (10)  はっさく   hassaku       いっぱい   ippai 自分で発音してみればわかるように、「っ」の間は次の子音の発音をしながら待機している。したがって、これは1つの子音を長く発音していること になり、別の子音が連続していることにはならない。  また(11)のように、子音のあとにyという子音の文字が続いていることもある。 (11)  コンピュ―夕ー konpyuta       しゅうしょく  syushoku       きょうと    kyoto       ちゅうごく tyugoku しかし、子音のあとにyの音がきても、音としては子音が連続していることにはならない。ためしにyoをゆっくり発音してみよう。まるでioと発音しているように聞こえる。これでわかるようにyという文字が表している音は母音のiとほぼ同じである。このような音は、音としては母音でも、必ず他の母音が後に続いていかなければならないので、半母音(はんぼいん)と呼ばれることがある。日本語ではyとwの表している音が半母音である。waをゆっくり発音してみれば、wが音として母音のuとほぼ同じであることがわかると思う。したがって(11)のような場合、文字としては子音が連続しているように見えるが、2番目の子音が半母音なので、発音している音としては子音が連続していることにはならない。 (P6)  このように、日本語では原則的に異なる子音が連続したり単語が子音で終わったりすることはなく、その例外はnだけである。 1.1.3.訓令式ローマ字とへボン式ロ―マ字 PTAを「ピーチーエー」といって何が悪い。じゃあ、チケットも「ティケット」か! タの子音とティの子音とは同じ音ですがティという音は一部の外来語にしか使われません。  駅名などのローマ字表示では見返しの表と異なるつづりがよく見られる。例えば(12a、b)はどちらも「ふくしま」をローマ字で書いたものである。 (12) a. Hukusima      b. Fukushima 日本語のローマ字のつづり方には2種類あり、それぞれ「訓令式」・「へボン式」と呼ばれている。(12a)や見返しの表は訓令式の書き方であり、(12b)はへボン式の書き方である。へボン式で訓令式と違うものを列挙すると(13)のようになる。 (13) shi(し)、sha(しゃ)、shu(しゅ)、sho(しょ)      ji(じ)、 ja(じゃ)、 ju(じゅ)、 jo(じょ)      chi(ち)、cha(ちゃ)、chu(ちゅ)、cho(ちょ)      tsu(つ)      fu(ふ) (P7) へボン式の書き方では「し」の子音がsではなくshで表されているので、見かけが「しゃ」や「しょ」と同じようになる。「ち」も同じように「ちゃ」や「ちょ」と見かけが似てくる。同じローマ字なのに、なぜこんなに違うのだろうか。  私たちは普段「さしすせそ」や「たちつてと」をひとまとめに扱っているが、外国人の耳で聞くとその中に別の子音が混じっていることがある。へボン式の書き方は、へボン(Hepburn)という名前のアメリカ人の宣教師が考案したもので、英語を話す人が感じる音の違いを忠実に表したものである。例えば、ta ti tu te toを英語のつもりで読むと「タティトゥテト」となることからもわかるように、「チ」と「ツ」は「タテト」とは異なる子音をふくんでいる。「チ」の子音は「チャ チ チュ チェ チョ」に共通する子音であり、「ツ」の子音は「ツァ ツィ ツ ツェ ツォ」に共通する子音である。つまり、日本語のタ行には3種類の子音が混在していることになる。  このように、ヘボン式ローマ字は英語を話す人が読むと正しい発音になりやすいように工夫したものなので、英語圏から来た人のための表示板などにはへボン式の方が適している。しかし、この本でローマ字を使うときは訓令式を使う。訓令式の方が日本語の音のシステムがよくわかるからである。へボン式で書くと、サ行はsa shi su se so、タ行はta chi tsu te toとなってしまい、na ni nu ne noなどとは見た目がずいぶん異なってしまう。「きゃ・しゃ・ちゃ・じゃ」などにしても、へボン式ではそれぞれkya、sha、cha、jaとなりどれも別々の書き方になってしまうが、訓令式ならばそれぞれkya、sya、tya、zyaとなり規則的な書き方ができる。また、shiと書くと子音を表す文字が2つ連続してしまっているが、「し」の発音では2つの子音を発音しているわけではないので、その点でも適当ではない。  日本語を話す私たちにとっては、サ行やタ行に別の子音が混じっていることを意識しなくても日本語を正しく発音することができる。逆にいえば、同じ音だと思いながら、別の音を発音していることになる。このように細かく考えていくと、「tの音」といった場合、「tだと思っている音」なのか「実際にtという音」なのかまぎらわしくなることがある。そこで、言語学では音素(おんそ)という用語を使って区別する。例えばタとチの子音はかなり異なった音であるが、私たちは同じ音素/t/をふくんでいると感じている。同様にサ行の音にはすべて音素/s/がふくまれている。 (P8)  このことからわかるように、訓令式ローマ字で書くと、ほぼ音素を書き表していることになる。これは私たちが1つであると感じている音よりも小さい単位であるが、このように音を細かくわけていくと新しく見えてくる面がある。音素という概念を理解するのは難しいが、日本語を訓令式ローマ字で書き表しながら、少しずつその考え方に慣れていってほしい。 ■1.1.A.標準問題  次の語の発音を訓令式ローマ字で書き表しなさい。(例えば「おとうさん」の場合、ひらがなをそのままローマ字にするとotousanになるが、実際には「おとーさん」のように発音しているのでotoosanと書いてほしい。) (1)シャツ  (2)学校    (3)幼稚園 (4)失格 (5)校長先生 (6)おじいさん (7)ラジオ (8)修学旅行 (9)ローマ字 (10)封筒 ■1.1.B.応用問題 1。次の英語を日本語でよくいうカタカナ語にいいかえ、さらにそのカタカナをローマ字にして、日本語らしくするために新たに加えた母音はどれか示しなさい。 (1)desk (2)school (3)notebook (4)bed 2。カタカナなら書き表せるのに訓令式ローマ字では書き表せない音を6個以上カタカナで書きなさい。 (P9) 1.2.3つの「ん」 1.1.では、私たちが普段1つだと思って発音している音が子音と母音に分けられることを確かめた。例えば「か」という音はkという子音とaという母音の組み合わせである。「か」には音素/k/と音素/a/がふくまれているという言い方もできる。今度は、それぞれの音素が具体的にどのように発音されているのか観察してみたい。 1.2.1.母音の発音 英語は同じ「ア」のくせに「アと工のあいのこのア」だとか「奥の方で発音するア」だとか、めんどうくさい。日本語みたいにはっきりすればいいのに。 日本語のアの発音にもいろいろあります。  日本語には/a/,/i/,/u/、/e/、/o/の5つの母音がある。私たちの耳にはこの5つが明らかに異なる音として聞こえるが、実際に発音するときはアナウンサーのようにきちんと発音しているとはかぎらない。結構あいまいな音も出ているのに、どうして区別できるのだろうか。  実際に自分でいろんな発音をしてみればわかるように、口のあき方・舌の位置・くちびるの形などを少しかえただけで違った音色の音がでる。私たちが出せる母音には特に境界線があるわけではないが、耳の方で境界線をひいて聞きわけているのである。英語では私たちが区別しないところにも境界線をひいているが、日本語よりも境界線が少ない言語もある。つまり、日本語でも、いろいろな母音をたまたま5つに聞きわけているにすぎないのである。 (P10) 1.2.2.鼻音 鼻がつまっているときに「すみません」っていうと、「すびばせん」ってきこえる。 mの発音の仕方とbの発音の仕方はよく似ています。 では、子音の発音はどうだろうか。子音だけをとりだして発音するのは難しいので、それぞれの子音にaの母音をつけて発音し、子音の部分の発音を観察してみよう。  子音を発音するときに口の中やくちびるがどうなっているかをおおざっばに書くと、次のようになる。 (1)k 口の奥をしめて、急にあける    s 上下の歯(と舌)で息の流れをせばめている    t 舌の先が上の歯の裏側について、急にはなれる    n 舌の先が上の歯の裏側について、急にはなれる    h のどの奥で息の流れをせばめている    m 唇をとじて、急にあける    y iと同じ    r 舌の先が歯ぐきの上の方について、はなれる    w uと同じ (1)を見るとtとnが同じようになっている。「たな」とつづけて発音してみても舌のつく位置が特にかわったようすはない。しかし、同じ発音なら同じ音にきこえるはず なのに別の音にきこえるのであるから、どこかが違うはずである。  その違いは鼻をつまんでみればわかる。鼻をつまんで「た」と言っても特に音がかわらないのに、「な」の場合は極端に音がかわる。鼻をつまんで音がかわるということは、nの発音に鼻がかかわっているということである。実は口の中に弁のようなものがあり、普通はこの弁によって鼻へ息が行かないようになっているのだが、nのような場合は鼻へ息を通して発音する。このように鼻にぬいて発音する音のことを鼻音(びおん)と呼ぶ。この音は、鼻がつまっているときにはうまく発音できない。つまり、日本語の子音は口の中の状態だけではなく鼻にぬけるかどうかでも区別されていることになる。 (P11) 1.2.3.有声音と無声音 ヒソヒソ声より、「シ―ッ!」つていう声の方がうるさいことがよくある。どうにかしてほしい。 ヒソヒソ声にして小さくなるのは主に母音の部分です。「シ―ッ!」の音には母音がふくまれていないのです。 では、「゛」や「°」がついた音は、どのように口を使っているだろうか。 (2)g 口の奥をしめて、急にあける    z 上下の歯(と舌)で息の流れをせばめている    d 舌の先が上の歯の裏側について、急にはなれる    b 唇をとじて、急にあける    p 唇をとじて、急にあける (1)、(2)をくらべればわかるように、kとg、sとz、tとd、mとpとbは、それぞれ口の中でしていることは同じである。鼻をつまんで確かめてみると、mだけが音がかわる。したがって、mはnと同じように鼻音であることがわかる。しかし、その他の音は一体どこで区別されているのだろうか。  のどぼとけのところに声帯(せいたい)という器官があり、ここがふるえるかどうかで音がずいぶんかわってくる。声帯(せいたい)のふるえている音は有声音(ゆうせいおん)と呼ばれ、声帯のふるえていない音は無声音(むせいおん)と呼ばれる。 (P12)  声帯がふるえているかどうかは、のどに指をあてて確かめることができる。まず、普通に「あのね」と言うときとささやき声で「あのね」と言うときとを比べて、どこに指をあてると違いが感じられるか確かめてほしい。今度はそこに指をあてたまま、「シーッ 静かに」のときの「シーッ」と「しー」とを発音してみよう。「シーッ」の方はいくら強く発音してものどがふるえることはない。しかし、「しー」と発音するとのどがふるえる。その母音が有声音だからである。ひらがなはすべて母音をふくんでいるため、普通は声帯がふるえる。しかし「シーッ」の場合いくらのばしていても「いー」にはならないことからもわかるように、この発音だけは珍しく母音をふくんでいない。そして、この子音は無声音であるため、声帯はいつまでたってもふるえないのである。  これになれたらsとzの発音を比べてみることができるかもしれない。この2つを発音しながらのどに指をあててみてほしい。zの時だけ声帯がふるえているのがわかるだろうか。母音がはいると有声音になってしまうので、子音だけ発音するように注意しなければならない。他の子音は長くのばすことができないので確かめるのが難しいが、k、s、t、p、hはそれぞれ無声音、g、z、d、b、rはそれぞれ有声音である。また、母音のa、i、u、e、oが有声音であるのと同じく、半母音のy、wも有声音である。n、mなどの鼻音も声帯がふるえるので有声音である。このように、日本語の子音は声帯がふるえているかどうかでも区別されている。 1.2.4.「ん」の発音 アメリカ人に「新幹線」の読み方を聞かれたので、sin‐kan‐senと書いてあげだら「シヌカヌセヌ」というような発音をしました。 「ん」の発音がいつでも[n]であるとはかぎりません。 (P13) では最後に「ん」の発音について観察してみよう。次の3つのことばを「ん」に注意して発音してみてほしい。 (3)a.三杯(さんばい)    b.三頭(さんとう)    c.三回(さんかい) 気をつけてゆっくり発音してみると、「ん」を発音するときにもう次の音を発音する用意をしていることに気がつく。「さんばい」ならばbを発音するときと同じように唇を閉じているし、「さんとう」ならば唇は閉じていないがtと同じく舌の先が上の歯の後ろ側についている。そして、kを発音するときに唇も閉じないし舌もつけないのと同じように、「さんかい」の「ん」は口を開いたまま発音している。  こんなにも違う発音をしているのに、私たちはどれも同じ「ん」だと思っているのであるから、ここでもずれが生じている。そこで、私たちが「ん」だと思っているものを音素/N/と表すことにしよう。そうすれば/N/という音素が実際に発音される場合、3種類の音になると説明できる。一体、音素/N/の発音はどういう場合にどうなるのだろうか。  どうやら/N/の発音はそのあとの子音の発音と関係があるらしいので、子音の発音の仕方をもう一度見直してみよう。子音を発音している場所はおおまかに次の3つに分けることができる。 (4)a.唇     …p.b、m    b.歯のまわり …s、z,t,d,n,r    c.口の奥   …k、g、h そして、/N/の発音も同じように3つの場所で可能である。 (5)a.唇をとじて「ん」をいう    b.舌の先を歯の裏につけて「ん」をいう    c.口の奥をしめて「ん」をいう (P14)  (5a‐c)の音はどれも鼻をつまむと音がでないので、すべて鼻音であることがわかる。(5a)の「ん」のあとにaを続けてみるとmaとなるので、(5a)の「ん」はmである。(5b)の場合はnaとなるので、(5b)の「ん」はnである。そして(5c)の場合は鼻濁音の「ンガ」になる。この子音を表す1字のアルファべットはないが、無理に書くとngとなる。つまり、音素/N/の発音には、m、n、ngの3つがあり、後に続く子音によってどの発音になるかが決まっているのである。逆に言えば、後に続く子音によって発音が1通りに決まるからこそ、かなり違う音にもかかわらず3つとも/N/だと感じることができるとも言える。 1.2.5.まとめ  この節では、私たちが個々の音素をどのような点に注目して区別しているのかを見た。舌、くちびる、歯などはもちろんのこと、鼻に息が通っているかどうかや、声帯がふるえているかどうかも、日本語では重要な点である。そして、このような点に注目して私たちの発音を見直すと、「ん」の発音に少なくとも3種類あることもわかった。普段は注意をむけたことがないかもしれないが、自分たちのしている発音に気をくばると、外国語の学習にも役立つかもしれない。 ■1.2.A.標準問題  次の単語の下線部ではどのような発音をしているか、それぞれ次の3点について答えなさい。 ・口の中の状態 ・鼻に息がぬけている(鼻音)かいないか ・声帯がふるえている(有声音)かいない(無声音)か (1) mikan  (2) hyaku  (3) hikidasi  (4) bunpo (5) gakko  (6) enpitu  (7) zassi   (8) paipu (9) manga  (10) nakimusi ■1.2.B.応用問題  日本語の子音(半母音のy、w以外)の発音の仕方をまとめてみましょう。つぎのひょうで、それぞれ縦に並んだものや横に並んだものに共通点があるように空欄をうめなさい。(1)ー(3)には「有声音/無声音/鼻音」のいずれかをいれ、(4)ー(10)には子音を表すローマ字1字をいれること。    (1)ではない (1)    (2)   (3)     t   (4)   (5)    (6)   b    (7)     k    g    (ng)    (8)   z     ーー    (9)   ーー    ーー    ーー    (10)  ーー