臣永正広「マヌケじゃわからぬアホ・バカ分布」 柳田国男もビックリ!? マヌケじゃわからぬアホ・バカ分布 関西はアホ、関東はバカというのが罵倒言語の代表だが、それを徹底調査したのが朝日放送の「探偵!ナイトスクープ」の「全国アホ・バカ分布図」。大阪の深夜バラエティー番組で、一昨年のテレビ関係の賞を総ナメにしたが、さらに調査研究を重ねた『全国アホ・バカ分布考』(太田出版)が、このほど出版される。  そもそもは、「アホとバカの境界線はどこ?」という素朴な疑問に答えるため東海道を下ったのがはじまり。  東京のバカは名古屋でタワケになり、関ヶ原でアホに変化していた。これが反響を呼び、さらに徹底した調査を敢行。  全国約三千二百の自治体にアンケートを送り、電話でも問き取り調査した。集まった「アホ・バカ言語」は三百以上に及んだ。  そのうち、上位二十種あまりのアホ・バカ言語の分布を地図に表示すると、アホは関東と中国・四国、九州のバカに挟まれ、アホに隣接する中国・四国と三重の一部にアンゴウがあり、南九州と東北の一部にホンジナシがあるなど、アホを中心に同心円が見えてくる。  これは、言葉は近畿(都)から伝播したもので、だんだんに円を描くという民俗学者柳田国男(やなぎだくにお)の「方言周圏論」の実証でもある。柳田先生は「カタツムリ」の呼び名の違いの五周の円で知られるが、アホ・バカの円は、なんと十六周を記録した。  方言学に詳しい徳川宗賢(とくがわむねまさ)学習院大数授はこう感心する。「網の目が細かく大規模、組織的な調査は日本初だし、テレビならではの結果でしょう。最近の学生はそこまで面白がってやりませんからね」 テレビのノリのよさが、画期的発見に結びついた。ただし、番組では二匹目のドジョウを狙ったらしいが、アホ・バカ調査のような大ヒットは生まれていない。  フリーライター・臣永正広≧